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編集後記 

もう、1年がたったのか……

あっというまに過ぎた1年であったが、こうして『きわ』の第2巻1号を出せることは、ありがたいことである。わたしたちは、「発信してナンボ」の世界に生きている。ささやかな同人誌だとはいえ、年度はじめに自身の現在地を確認することは無意味ではないはずだ。

 

個人的には、複数の研究助成を頂戴したおかげで、やし(ココナツ)油や古式捕鯨の調査など、あたらしい研究テーマに着手することができた。なんといっても、念願だったフェロー諸島を訪問できたおかげで、捕鯨という行為を「相互扶助」という観点から考える機会となった。いますぐ活字化できる段階にはないものの、将来につながる仕込みができたことを嬉しく感じている。なにはともあれ、歩いてみることだ。

ゼミは、1名が巣立ち、あたらしく2名の仲間がはいってきた。それぞれがバラバラの研究をしているとはいえ、「食」(食べ物の生産と消費)という共通テーマのもと、ゼミらしいまとまりができつつあることを頼もしく思っている。流行の概念などに依存せず、調査で得たデータにもとづいた議論を地味に積みあげていきたいと思う。そのためにも、歩いてみることだ。

 

今年度から2年間の予定で大学院の講義・先端課題研究23「〈面白い〉研究の研究─規格不能性に向きあう」がはじまった。同僚教員9名、博士課程の学生6名の共同研究である。背景を異にするそれぞれが模索する〈面白さ〉に学びながら、わたし自身も〈面白い〉研究を実践していきたい。


赤嶺 淳

© 2025 くにたち歩く学問の会        発行:東京都国立市中2-1 一橋大学大学院社会学研究科赤嶺研究室

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