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関心と関心を繋げて

秋野 仁美 
一橋大学大学院 社会学研究科 博士前期課程1年

一橋大学大学院社会学研究科に今年度入学するまでの大学生活4年間、多くのことに関心を持ちながら過ごした。これらの関心というのは、元々は関連のないもの同士であった。しかし、関心と関心を繋げた結果、「日韓の中華街と中国料理を研究したい」という思いに至った。

この思いが生まれたきっかけには、主に三つのことへの出会いが関わっている。一つ目は、大学の専攻として学習を始めた「中国語」である。幼少期に、母の職場に来た中国の方と交流する機会がしばしばあり、また母自身も度々中国へ出張していたので、大学入学前から中国の方や母から中国についての話をよく聞く環境にあった。これらの経験から、中国語および中国の文化をもっと知りたい、学びたいと思うようになった。中国語の授業はその難しさからついていくのが大変であった時期もあったが、先生方の指導のおかげで少しずつ習得を感じられるようになった。また、中国語と共に必修であった中国史や中国経済の講義を通して、中国という国に対する理解も深めることができた。

一方で、わたしは中国に関する学習とは別に、選択授業を通してジェンダー論にも関心を持ち始めた。そして、学部3年次から始まるゼミを選択する際、趣味であるダンスにおけるジェンダー表象を学び、卒業論文を書きたいと考え、中国研究とは全く関係のないゼミを選択する。結果的にこれが二つ目の「社会学」との出会いとなり、そのゼミで社会学の研究手法について一から知ることができた。特に、卒業論文では行わなかったものの、フィールドワークを通じて人々の考え方や現地の文化を理解する研究に興味が湧いた。

そして新型コロナウイルスも収束し、わたしも短期留学や旅行で海外に足を運ぶようになり、行った先々で現地の「食文化」の魅力にどっぷり浸かった。これが三つ目の出会いである。リスクを顧みずに食べすぎて食中毒になることもあったほど、関心のある食べ物はもれなく食べ歩いた。中でも楽しかったのはアメリカで日本料理、韓国でベトナム料理というように、異国の地で「異国」の料理を体験することであった。名目上は同じ「〇〇料理」と称されるとしても、自分が日本で食べたことのあるものとはかなり異なる見た目と味に、料理の無限の広がりを感じた。


このようにひたすら関心のあることに足を突っ込んでいった過程を経て、「どれももっと深めたい」というある種欲張りな思考をし始めた時が、大学院を志すことになった最初の瞬間であった。そして一つ一つの関心について改めて考え、結んだ先に決めたのが、母国日本と、大学時代何度も訪れた韓国の中華街と中国料理を、文献やフィールドワークを通して比較するということであった。

今まで関心を広く漁ってきたことの裏返しとして、わたしは語学、社会学、中華街と中国料理、いずれについてもまだまだ中途半端な知識とスキルしか持ち合わせていない。従ってこれからより徹底的に理解や学習を深める必要があると考える。

今年度は上半期で先行研究や中華街や中国料理についての基本文献を読み進めていく。またフィールドとして、横浜中華街と仁川中華街を考えているが、前者に関しては定期的に、後者に関しては今冬に足を運び調査する予定だ。そして研究に関係のある中国語、韓国語の勉強は常に継続し、社会学についての知識も、講義や自主的な学習を通じて自分の中に確実に構築していきたい。

そして、興味関心が多い性格の自分だからこそ、今後調査していく中で見つけた新たな関心というのも大事にし、研究に繋げていきたい。

© 2025 くにたち歩く学問の会        発行:東京都国立市中2-1 一橋大学大学院社会学研究科赤嶺研究室

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